住宅ローンの勤続年数は1年以上が目安、雇用形態別に解説

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住宅ローンの審査で確認される勤続年数の基準は、現在「1年以上」が主流です。かつて広く言われていた「3年以上」という基準は、非正規雇用や転職が珍しくなくなった働き方の変化を受けて見直しが進んでいます。勤続1年に満たない状態でも融資を受けられる金融機関は増えているものの、基準や重視するポイントは金融機関ごとに異なり、勤続年数の長さだけで審査の可否が決まるわけではありません。この記事では、国土交通省の調査データをもとにした審査基準の実態、雇用形態ごとの目安、勤続年数が短い場合に有効な対策までをまとめました。転職直後に住宅購入を検討している方にとって、判断材料となる内容です。

目次

住宅ローンの勤続年数、審査基準は「1年以上」が主流に

住宅ローンの勤続年数基準は、1年以上を求める金融機関が最も多くなっています。国土交通省が民間住宅ローンの実態について行った調査では、審査時に勤続年数を考慮していると回答した金融機関は93.2%にのぼりました。ほとんどの金融機関が、申込者の勤続年数を何らかの形で審査項目に組み込んでいることになります。

勤続年数を審査項目とする金融機関のうち、「1年以上」を求める割合は全体の6割を超え、最も多い基準です。一方で「3年以上」を求める金融機関は2割程度にとどまり、かつて主流だった基準は相対的に少数派になりつつあります。

この結果から、勤続年数と住宅ローンの関係は次の3段階で捉えると分かりやすくなります。勤続1年以上あれば大半の金融機関に申し込めますし、勤続3年以上あれば、より有利な条件を選べる可能性が高まります。勤続1年未満でも、ほかの条件次第で審査に通る余地は残っています。

ただし、これはあくまで勤続年数という一項目だけを見た場合の話です。実際の審査では、年収、雇用形態、勤務先の規模や安定性、返済負担率、信用情報、頭金の有無など、複数の要素を組み合わせて総合的に判断されます。勤続年数が短くても、ほかの条件が良好であれば審査を通過する可能性は十分にあります。

金融機関が勤続年数を見るのは返済の継続力を測るため

金融機関が勤続年数を審査で確認する理由は、申込者が長期間にわたって安定的に返済を続けられるかどうかを見極めるためです。住宅ローンは数千万円規模の融資を20年、30年、35年といった長期間で返済していく金融商品なので、金融機関にとっては将来の収入の継続性が最大の関心事になります。

同じ勤務先で長く働き続けている申込者は、職場での評価や実績が一定水準にあり、突発的な離職や収入減少のリスクが比較的低いと判断されやすくなります。今後も継続して安定収入が見込めると評価されるわけです。

反対に、転職直後や勤続年数が短い申込者は、新しい職場での適性や評価がまだ定まっておらず、試用期間中に契約が打ち切られるリスクもゼロではありません。収入が今後変動する可能性も考慮され、不確実性が相対的に高いとみなされやすくなります。

こうした背景があるため、金融機関は勤続年数を返済能力の安定性を推測するための目安として審査に組み込んでいます。勤続年数が短いことが、そのまま返済能力が低いという判定に直結するわけではない点は押さえておきたいところです。

雇用形態別の勤続年数の目安、派遣社員は3年以上が目安に

住宅ローンの審査基準は、正社員か非正規雇用かによっても傾向が変わります。雇用形態ごとの勤続年数の目安をまとめると、次の表のようになります。

雇用形態勤続年数の目安補足
正社員・公務員1年以上最も安定した収入形態とみなされやすく、公務員は特に評価が高い傾向
契約社員1年以上契約更新の有無や更新実績も確認されることがある
派遣社員3年以上派遣先での就業期間に加え、派遣会社との雇用契約の継続性も見られる
パート・アルバイト金融機関により対応が分かれるフラット35など継続雇用の実績があれば対象となる商品もある
自営業・フリーランス・経営者開業から2〜3年以上「勤続年数」ではなく「開業からの年数」で評価される

正社員や公務員は最も安定した収入形態とみなされやすく、勤続年数1年以上あれば多くの金融機関で審査対象になります。契約社員も目安は同じく1年以上ですが、契約更新の実績が確認されることがあります。

派遣社員は正社員や契約社員に比べてやや厳しめの基準になりやすく、目安として勤続3年以上が求められるケースがあります。派遣先での就業期間だけでなく、派遣会社との雇用契約が継続しているかどうかも見られます。

パート・アルバイトは雇用形態や条件によって審査対象外となる金融機関がある一方、フラット35のように継続雇用の実績があれば対象となる商品もあります。

自営業やフリーランス、経営者の場合は「勤続年数」ではなく「開業からの年数」や「営業年数」で評価されるのが一般的です。多くの金融機関では、開業から2〜3年以上の実績と、確定申告における安定した所得が求められます。単年度の売上ではなく、直近2〜3期分の所得の推移が審査対象になる点が、給与所得者との大きな違いです。

同じ「勤続年数が短い」という状況でも、雇用形態によって金融機関の見る観点や必要な実績は変わってきます。自分の雇用形態がどのカテゴリーに当てはまるかを把握したうえで、対策を考えることが欠かせません。

転職時の勤続年数は同業種転職なら前職分を合算できる場合がある

勤続年数がどのようにカウントされるかも、正しく理解しておく必要があります。

転職した場合、基本的には現在の勤務先での在籍期間がそのまま勤続年数としてカウントされます。転職して間もない状態では、原則として勤続年数は短いものとして扱われます。ただし、キャリアアップを目的とした同業種・同職種への転職であれば、前職の勤続年数を合算して評価してもらえるケースがあります。同じ業界・同じ職種での転職は、経験やスキルが継続しているとみなされ、収入の継続性という観点から相対的に高く評価されることがあります。この扱いは金融機関ごとに異なるため、転職理由や転職先の業種・職種を明確に説明できるように準備しておくとよいでしょう。

産休や育休を取得している場合、あるいは育休から復職したばかりのタイミングでも、勤続年数のカウント自体は在籍期間として継続されます。一方で審査上は、休業中の収入や復職後の収入見込みがどう評価されるかがポイントになります。金融機関によって審査基準や必要書類(休業前の収入証明、復職証明書など)が異なるため、産休・育休を取得中、または取得予定がある場合は、申し込みを検討している金融機関に直接確認しておくと安心です。

同じグループ内での転籍や出向についても、実質的に雇用が継続しているとみなされ、勤続年数が通算されるケースが多く見られます。これも金融機関の内部基準によって扱いが変わるため、事前に確認しておいたほうがよさそうです。

勤続年数が短いと融資額や金利条件で不利になることがある

勤続年数が短い、目安として1年未満の場合、いくつかの影響が生じる可能性があります。

まず、審査対象となる金融機関の選択肢が狭まります。勤続年数の基準を設けている金融機関では、そもそも申し込み自体ができない、あるいは審査の土台に乗らないことがあるためです。次に、年収が記載された雇用契約書や採用通知書、内定通知書など、勤続年数の短さを補う追加書類の提出を求められることがあります。

融資可能額や金利条件が不利になる場合もあります。同じ年収であっても、勤続年数が短いことでリスクが高いと判断され、希望する満額の融資が受けられなかったり、優遇金利の適用条件から外れたりする可能性があるためです。さらに、住宅ローンの多くは金融機関の審査に加えて保証会社の保証審査を通過する必要があり、保証会社側でも勤続年数を重視する場合は、二重のハードルになることもあります。

これらはあくまで勤続年数が短い場合に起こりうる傾向であり、必ずしも全員に当てはまるわけではありません。年収の高さ、転職による収入アップ、勤務先の企業規模や安定性、頭金の多さなど、ほかの好条件でカバーできる部分も多くあります。

勤続年数が短くても住宅ローンを組むための対策

勤続年数に不安がある場合でも、いくつかの対策を講じることで審査通過の可能性を高めることができます。

フラット35は勤続年数の条件がなく転職直後でも申し込める

フラット35は、年収や勤続年数、居住地などに関する制限がなく、他の住宅ローンに比べて通りやすいとされています。勤続年数や雇用形態が申し込み要件に含まれていないため、就職したばかりの人や、フリーランス・契約社員など非正規雇用で働く人でも申し込みが可能です。転職直後で勤続年数の実績がない場合でも審査対象となる点は大きなメリットといえるでしょう。ただし、対象物件に関する独自の審査基準や、総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)などの基準が別途定められているため、勤続年数の条件がない代わりに、他の基準をしっかり満たす必要があります。

年収アップを示す書類をそろえて評価につなげる

転職によって年収が上がっている場合は、その事実を証明できる雇用契約書や採用通知書、給与明細などを準備しましょう。年収が前職よりも上がっていれば、金融機関の評価にプラスに働く可能性があります。

前職からの勤続年数合算を担当者に相談する

同業種・同職種へのキャリアアップ転職であれば、前職の勤続年数を合算して審査してもらえる金融機関がある可能性があります。転職の経緯やこれまでのキャリアの一貫性を、金融機関の担当者にきちんと説明できるよう準備しておくことが大切です。

頭金を増やして返済負担率を下げる

頭金を増やして借入額を抑えることで、返済負担率が下がり、金融機関側のリスク評価が下がることがあります。勤続年数という弱点を、自己資金でカバーするという考え方です。

ペアローンや収入合算で世帯の実績を補う

配偶者などと収入を合算する収入合算や、それぞれが債務者となるペアローンを利用することで、1人でローンを組むよりも審査に通りやすくなったり、借入可能額を引き上げられたりする可能性があります。夫婦それぞれの勤続年数や収入状況を組み合わせることで、審査上の弱点を補完できる場合があります。

信用情報の延滞履歴をなくしておく

クレジットカードの支払い遅延や、他のローンの延滞履歴があると、勤続年数以前に審査で不利になります。住宅ローンの申し込み前に、既存の借入やカードの利用状況を見直し、延滞のない状態を保っておくことが基本かつ重要な対策です。

複数の金融機関で仮審査を受けて比較する

金融機関によって勤続年数に対する基準や柔軟性は異なります。1つの金融機関で難しいと言われても、他の金融機関やフラット35取扱窓口では審査に通る可能性があります。複数の金融機関で仮審査を受けてみることで、自分の状況でどこまで借り入れが可能かを比較検討できます。

転職のタイミングを住宅ローンの手続き前後で調整する

これから住宅購入を計画している場合は、住宅ローンの本審査が完了し、融資が実行されるまでは転職を控える、あるいは住宅ローンの申し込み後に転職時期をずらすという選択肢もあります。逆に転職を予定している場合は、転職前に住宅ローンの審査・契約を済ませておくという判断も一つの方法です。

勤続年数以外では年収や返済負担率、健康状態が審査対象になる

住宅ローンの審査では、勤続年数はあくまで一要素にすぎません。金融機関が総合的に見ている主な項目を整理すると、次の表のようになります。

審査項目見られるポイント
年収一定以上の年収があるか、収入は安定しているか
返済負担率年収に占める年間返済額の割合が基準内に収まっているか
雇用形態正社員か、契約社員・派遣・自営業か
勤務先の規模・業種勤務先の安定性や将来性
健康状態団体信用生命保険に加入できる健康状態か
信用情報クレジットカードやローンの支払い履歴に延滞がないか
物件の担保評価購入する物件自体の担保価値
完済時年齢ローン完済時の年齢が高すぎないか

勤続年数に不安がある人ほど、これらほかの項目を可能な限り良好な状態に整えておくことが、審査通過への近道になります。

金融機関ごとに審査基準は異なり、りそな銀行は間口が広い

住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに大きく異なります。審査基準を評価する際に重要な指標は前年度年収と勤続年数であり、約95.6〜95.7%の銀行がこれらを重要な審査項目として位置づけているというデータもあります。ほとんどすべての金融機関が、年収と勤続年数の両方をチェックしていると考えてよいでしょう。

一方で、その基準の厳しさには金融機関によって差があります。大手銀行の中では、りそな銀行が比較的審査基準の緩和に積極的とされ、勤続年数は1年以上、前年度年収は100万円以上から審査対象になるなど、間口が広めに設定されているケースがあります。同じ「1年以上」という基準であっても、年収基準や他の付帯条件と組み合わせることで、実質的な通りやすさは金融機関ごとに変わってきます。

フラット35は年収の基準自体がなく、返済比率(年間返済額÷年収)だけが実質的な基準となっており、勤続年数の縛りもないため、転職してすぐの人でも申し込みやすい商品として位置づけられています。

勤続年数に不安がある場合は、大手銀行の中でも比較的間口が広い金融機関を探したり、地方銀行や信用金庫など地域密着型で柔軟な対応をしてくれる金融機関を検討したりするとよいでしょう。フラット35など勤続年数の条件がない商品を候補に入れる方法もあります。金融機関によって公表している基準と実際の運用にはズレがある場合もあるため、最終的にはファイナンシャルプランナーや住宅ローンの窓口に相談し、自分の状況に合った金融機関を絞り込んでいくことをおすすめします。

住宅ローンの事前審査の通過率は約9割、落ちる主な理由は信用情報

住宅ローンの事前審査(仮審査)に落ちる確率は、一般的に10%程度といわれています。決して低い数字ではなく、10人に1人程度は何らかの理由で事前審査を通過できていない計算になります。

事前審査に落ちる主な理由としては、クレジットカードやローンなどの支払いが遅れていた過去があり信用情報にキズがあるケース、年収が金融機関の定める基準に対して極端に低いケース、歩合給の割合が大きいなど収入が不安定なケース、勤続年数が短いケース、健康状態に不安があり団体信用生命保険に加入できないケース、住宅ローン以外の借り入れが多いケース、借入時や完済時の年齢が高すぎるケース(目安として完済時80歳を超えるなど)が挙げられます。

これらを見ても分かる通り、勤続年数は審査に落ちる理由の一つではありますが、それだけが単独の原因になるケースは意外と少なく、信用情報や返済負担率など、他の要素と重なることでマイナス評価が積み重なるケースが多いといえます。逆にいえば、勤続年数以外の項目を良好な状態に保っておけば、勤続年数の短さをカバーできる可能性は十分にあります。

事前審査と本審査のあいだに転職すると審査に落ちる可能性が高まる

住宅ローンの審査は、多くの場合事前審査(仮審査)と本審査の2段階に分かれています。事前審査では、年齢や勤続年数、年収などの申込者の属性と返済計画をもとに、大まかな返済能力が審査されます。Web申し込みに対応している金融機関も多く、結果が出るまでの期間は概ね1週間以内が目安とされています。

ここで特に注意したいのが、事前審査と本審査のあいだに転職してしまうケースです。事前審査を通過したあと、本審査までのあいだに転職すると、審査に落ちる可能性が高まるとされています。理由は主に2つあります。

1つ目は、事前審査の時点で申告した勤務先情報と、本審査の時点での勤務先情報が異なることで、金融機関側が事前審査の内容と齟齬があると判断してしまう点です。転職の事実を金融機関に伝えずに本審査を進めた場合、悪質なケースでは虚偽の申告をしたとみなされ、審査自体が白紙に戻ってしまうリスクもあります。2つ目は、転職を正直に申告した場合でも、勤続年数や雇用形態、年収などの属性が事前審査時と変わってしまうことで、あらためて審査基準に照らし合わせた結果、本審査に通らなくなる可能性がある点です。

こうしたリスクを避けるためには、住宅購入・住宅ローンの計画がある場合は本審査が完了し融資が実行されるまで転職を控えること、どうしても転職のタイミングを避けられない場合は事前に金融機関の担当者に相談し対応方法を確認しておくこと、転職する場合は可能な限り同業種・同職種でのキャリアアップ転職とし勤続年数の合算や収入継続性の説明ができるようにしておくことが重要になります。住宅ローンの審査期間中は、収入や雇用状況に関わる大きな変化はできるだけ避けるというのが基本的な考え方です。

住宅購入と転職の順番は、先にローンを済ませる方がリスクは低い

住宅ローンの利用を検討している人の中には、転職と住宅購入のどちらを先に進めるべきか迷うケースも少なくありません。この順序によって、審査の通りやすさは大きく変わってきます。

現在の勤務先での勤続年数がある程度あり、収入も安定している状態であれば、転職前に住宅ローンの審査・契約・融資実行までを済ませてしまうのが、最もリスクの低い選択といえます。すでに実績のある勤続年数と収入をベースに審査を進められるため、金融機関からの評価も安定しやすく、審査基準を満たしやすい状態にあります。転職を検討している場合でも、住宅購入の計画がすでに具体化しているのであれば、先にローンの手続きを終えてから転職活動を始めるという順序が安心です。

転職後に住宅ローンを検討する場合は、前述の通り、勤続年数の実績が浅いことがネックになりやすくなります。ただし、転職によって年収が上がった、より安定した業界・企業に移ったといったケースでは、長期的に見れば返済能力が向上していると評価される可能性もあります。この場合は、転職後一定期間(目安として1年程度)実績を積んでから住宅ローンを申し込むか、フラット35のような勤続年数の条件がない商品を活用するかを検討することになります。

例えば、同業種でより条件の良い企業へキャリアアップ転職をし、年収が100万円アップしたようなケースでは、前職からの勤続年数の合算や、年収アップの証明書類の提出によって、転職直後であっても審査に通る可能性は十分にあります。一方で、未経験の業種へ転職し、なおかつ試用期間中であるようなケースでは、収入の継続性が不透明と判断されやすく、審査のハードルは相対的に高くなる傾向があります。自分の転職がどちらのパターンに近いかを客観的に把握し、それに応じた金融機関選びや準備を進めることが大切です。

借り換え時も勤続年数は新規と同様に審査される

すでに住宅ローンを組んでいる人が、より有利な金利の住宅ローンへ借り換えをする場合にも、勤続年数は審査項目として確認されます。借り換えの場合、新規借り入れ時と同様に、借り換え先の金融機関における審査基準(勤続年数、年収、返済負担率など)を満たす必要があります。

借り換えを検討するタイミングで転職を控えている、あるいは転職した直後であるという場合は、新規借り入れのケースと同様に、勤続年数の実績不足が審査に影響する可能性があります。借り換えによる金利メリットを享受したい場合は、転職前に借り換え手続きを済ませておくか、転職後に一定の勤続実績を積んでから借り換えを検討するといった判断が必要になります。

住宅ローンの勤続年数についてよくある疑問

勤続年数がゼロ、つまり入社直後でも住宅ローンを組めるのか気になる人は多いはずです。金融機関によっては、勤続年数の実績がなくても、内定通知書や雇用契約書に基づく見込み年収で審査を行ってくれる場合があります。フラット35のように勤続年数の条件がない商品であれば、入社直後でも申し込み自体は可能です。ただし、実績がない分、頭金や信用情報、年収の見込みといった他の条件がより重視される傾向にあります。

アルバイトから正社員に登用された場合の勤続年数の扱いも気になるところです。同一の勤務先でアルバイトから正社員に登用された場合、雇用形態は変わっても在籍期間そのものは継続しているとみなされ、勤続年数として通算されるケースが一般的です。ただし、正社員登用後の年収や雇用条件が審査の中心になる点は押さえておきましょう。

転職を繰り返している場合に審査で不利になるかどうかも、よく聞かれる疑問です。短期間での転職を繰り返している場合、収入の継続性や安定性の観点から、金融機関にマイナスの印象を与えやすくなります。特に直近の勤続年数が短い状態が続いていると、審査のハードルが上がる傾向があるため、転職の理由やキャリアの一貫性を説明できるようにしておくことが大切です。

勤続年数が短くても頭金があれば審査に通りやすくなるのか、という疑問もよく聞かれます。頭金を多く用意することで借入額を抑えられ、結果として返済負担率が下がるため、金融機関側のリスク評価が下がる可能性があります。勤続年数という弱点を、自己資金でカバーするという考え方は有効な対策の一つです。

自営業者やフリーランスの場合、何年分の実績が必要になるのかという疑問もあります。目安として、開業から2〜3年以上の実績と、確定申告における安定した所得が求められることが一般的です。単年度の売上だけでなく、直近2〜3期分の所得の推移が審査対象になる点が、給与所得者との大きな違いです。開業直後の場合は、フラット35など柔軟な商品を検討するとよいでしょう。

事前審査は通ったのに本審査で落ちることがあるのかという疑問については、実際にあり得ます。事前審査と本審査のあいだに転職や大きな借り入れをした場合、勤続年数や返済負担率などの条件が変わり、本審査で改めて基準を満たせなくなることがあります。事前審査通過後も、本審査が完了するまでは収入・雇用状況・借入状況に大きな変化を起こさないことが基本です。

勤続年数が短いことを金融機関に正直に伝えるべきかどうかも、悩みやすいポイントです。結論として、正直に伝えるべきといえます。勤続年数や雇用形態、転職の経緯を偽って申告すると、審査の過程や融資実行後に事実が判明した場合、契約解除や一括返済を求められるリスクがあります。勤続年数が短い場合は、隠すのではなく、年収アップの証明書類や前職からのキャリアの一貫性など、プラス材料を積極的に提示して評価を補う方針で臨むことが望ましいといえます。

まとめ:勤続年数1年未満でも対策次第で住宅ローンは組める

住宅ローンの勤続年数に関する基準は、1年以上が現在の大まかな目安であり、かつての3年以上という常識は徐々に緩やかになりつつあります。国土交通省の調査でも、勤続年数を審査項目とする金融機関の6割超が1年以上を基準としており、1年未満でも審査に通る可能性はゼロではありません。

とはいえ、金融機関によって基準や柔軟性には差があり、雇用形態によっても求められる実績年数は異なります。転職直後や勤続年数が短い状態で住宅ローンを検討している場合は、フラット35など勤続年数の条件がない商品を検討すること、年収アップの証明書類を準備すること、前職からの勤続年数の合算を相談すること、頭金を多めに用意すること、ペアローンや収入合算を活用すること、信用情報を整えておくこと、複数の金融機関で仮審査を受けることといった対策を組み合わせれば、審査通過の可能性を高められます。

住宅ローンは長期にわたる大きな決断です。勤続年数だけにとらわれず、自分自身の収入状況や将来設計を踏まえたうえで、複数の金融機関やフラット35取扱窓口に相談しながら、最適な選択肢を検討していくとよいでしょう。

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