住宅ローンの返済期間を35年にするか短縮するかは、毎月の返済負担と総返済額のバランスで決まります。35年ローンは月々の返済額を抑えられる一方で総利息が増え、返済期間を短縮すると総返済額は減りますが毎月の負担が大きくなります。どちらが最適かは、年齢やライフプラン、収入状況によって異なるため、自分に合った返済計画を立てることが重要です。
住宅ローンを組む際、返済期間をどのくらいに設定するかは非常に重要な判断となります。35年という長期返済を選ぶべきか、それとも20年や25年といった短期返済を選ぶべきか、多くの方が悩むポイントではないでしょうか。この記事では、住宅ローンの返済期間について、35年ローンのメリットとデメリット、返済期間を短縮するメリットとデメリット、そして最適な返済期間の選び方まで、具体的なシミュレーションを交えながら詳しく解説していきます。

住宅ローンの返済期間とは何か
住宅ローンの返済期間とは、借入金を完済するまでにかかる年数のことです。一般的に住宅ローンの返済期間は最長35年とされていますが、最近では40年や50年といった超長期のローン商品も登場しています。
住宅金融支援機構の調査によると、フラット35を除く住宅ローンの貸出期間は、25年超30年以下の割合が最も高く44.4%を占めており、平均は27.0年となっています。一方で、実際の完済までの期間は10年超15年以下の割合が最も高く43.2%で、平均は16.0年となっています。つまり、多くの人が当初の返済期間よりも早く完済していることがわかります。
住宅ローンの契約期間は、35年、30年、25年、20年など、通常は契約者が自由に選ぶことができます。金融機関によっては1年単位で細かく設定できる場合もあります。返済期間を決める際に考慮すべき重要なポイントとして、毎月返済に充てられる金額はいくらか、返済中に発生し得る費用として教育費や医療費などはどれくらいか、そして何歳までに住宅ローンを返し終わりたいかという3つの観点があります。
住宅ローンの返済期間における最近の傾向
2024年の調査によると、2021年から2024年までの4年間で、返済期間35年超の割合が8.6%から16%へと上昇しました。超長期ローンを利用する割合がじわじわと増えているのです。一方で、20年以内の短期返済を利用する人も9.8%から14.2%に増加しており、これまで主流だった「35年返済」が、超長期と短期に2極化しつつあるという傾向が見られます。
35年ローンのメリット
毎月の返済負担が軽くなる
35年ローンの最大のメリットは、毎月の返済額を抑えられることです。同じ借入金額でも、返済期間が長いほど毎月の返済額は少なくなります。
例えば、3,000万円を金利1.5%で借り入れた場合のシミュレーションを見てみましょう。35年返済の場合は月々約91,855円、30年返済の場合は月々約103,536円、25年返済の場合は月々約119,980円、20年返済の場合は月々約144,763円となります。このように、35年返済では20年返済と比較して月々約5万円以上も負担が軽くなります。毎月の家計に余裕を持たせたい場合には、35年ローンは有力な選択肢となります。
審査に通りやすくなる
住宅ローンの審査では、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が重要な審査項目となります。返済期間を長くすることで毎月の返済額が減少し、返済負担率が下がるため、審査に通りやすくなる傾向があります。年収に対して借入希望額が大きい場合でも、35年ローンを選択することで審査をクリアできる可能性が高まります。
団体信用生命保険の保障期間が長くなる
住宅ローンを契約する際には、多くの場合、団体信用生命保険(団信)への加入が必須となります。団信とは、住宅ローン利用者が死亡または高度障害の状態になった場合に、保険会社がローン残高を代わりに支払ってくれる保険です。
団信の保障期間は住宅ローンの返済期間と同じです。つまり、返済期間が長ければ長いほど、団信による保障期間も長くなります。住宅ローンは最長35年など長い期間をかけて返済していくものですから、途中で事故にあったり重い病気になったりする可能性はゼロではありません。団信に加入していれば、万が一そのような事態になったときでも、家族には家を残すことができ、生活をある程度守ることができます。
繰り上げ返済で柔軟に対応できる
35年ローンのもう一つの大きなメリットは、一度契約した後でも繰り上げ返済によって返済期間を短縮できることです。逆に、最初から短い返済期間で契約してしまうと、後から期間を延ばすことは基本的にできません。つまり、まずは35年ローンで契約しておき、家計に余裕ができたら繰り上げ返済をして期間を短縮するという戦略が可能です。この柔軟性は、将来の収入や支出の変動が予測しにくい場合に特に有効です。
35年ローンのデメリット
総返済額が大きくなる
35年ローンの最大のデメリットは、返済期間が長いため総返済額(元金+利息)が大きくなることです。
例えば、3,000万円を金利1.5%で借り入れた場合の総返済額を比較すると、20年返済の場合は総返済額約3,474万円で利息が約474万円、25年返済の場合は総返済額約3,599万円で利息が約599万円、30年返済の場合は総返済額約3,727万円で利息が約727万円、35年返済の場合は総返済額約3,858万円で利息が約858万円となります。このように、35年返済では20年返済と比較して約384万円も多く支払うことになります。利息だけを見ても、20年返済と35年返済では約384万円の差があり、これは決して小さくない金額です。
定年後も返済が続く可能性がある
35歳で35年ローンを組んだ場合、完済時年齢は70歳になります。多くの企業では65歳が定年となっているため、退職後も5年間は返済を続けなければなりません。退職後は収入が年金だけになることが多く、現役時代と同じペースでの返済は困難になる可能性があります。退職金でローン残高を一括返済する計画を立てている人もいますが、退職金は老後の生活資金として重要な役割を果たすため、全額を住宅ローンの返済に充ててしまうと老後の生活が苦しくなる恐れがあります。
金利上昇リスクが大きい
変動金利で35年ローンを組んだ場合、返済期間が長いほど金利上昇の影響を受ける期間も長くなります。特に返済期間が長いほど、金利上昇によるダメージは大きくなります。
2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除して以降、変動金利は上昇傾向にあります。残債が多い時期ほど、金利が上昇したときの毎月の返済金額の上昇幅が大きくなるため、返済開始から5年目で金利が上昇する場合と15年目で上昇する場合では、前者の方が総返済額への影響が大きくなります。
返済期間を短縮するメリット
総返済額(利息)を大幅に軽減できる
返済期間を短くする最大のメリットは、支払う利息の総額を大幅に減らせることです。返済期間を35年から30年に縮めると、毎月の返済額は約1万円弱増えますが、総返済額は約55万円安くなります。25年に縮小すると約110万円、20年返済なら約160万円の差が出てきます。金利や借入金額などの条件が同じでも、返済年数を短くすることでローンの返済負担を大幅に軽減できるのです。
退職前の完済が可能になる
返済期間を短くすることで、定年退職前に住宅ローンを完済できる可能性が高まります。例えば、40歳で住宅ローンを組む場合、35年ローンでは完済時年齢が75歳になりますが、25年ローンを選択すれば65歳で完済できます。一定の収入が見込める現役時代に返済を終えることで、退職後は住宅ローンの心配をすることなく生活を送ることができます。
住宅金融支援機構のデータによると、住宅ローン利用の平均年齢は44.3歳で、10年前の39.6歳から4.7歳も上昇しています。住宅購入の年齢が上がっている今、返済期間の短縮はより重要な検討事項となっています。
金利優遇を受けられる場合がある
返済期間が短い住宅ローンでは、金利優遇を受けられる場合があります。例えば、フラット35では、返済年数21年以上35年以下よりも20年以下(フラット20)の方が金利が低く設定されています。借入期間が20年以下の最頻金利は、借入期間が21年以上35年以下の最頻金利よりも低くなるため、利息負担をさらに軽減できます。
精神的な安心感が得られる
住宅ローンは多くの人にとって人生最大の借金です。返済期間を短くすることで、「早く借金を返し終えたい」という精神的な負担を軽減できます。また、完済が早まることで、その後の人生設計の自由度も高まります。子どもの教育費がかかる時期や、老後の資金準備など、ライフステージに合わせた資金計画を立てやすくなります。
返済期間を短縮するデメリット
毎月の返済負担が大きくなる
返済期間を短くすると、当然ながら毎月の返済額は大きくなります。返済年数が20年では月の返済額が14万円以上と、35年の約97,000円よりも4万5,000円も負担が大きくなります。毎月の家計に余裕がない状態で無理に短期返済を選択すると、日々の生活が苦しくなったり、想定外の出費に対応できなくなったりする恐れがあります。
不測の事態に対応しにくくなる
毎月の返済額が高くなると、家計にゆとりがなくなり、不測の事態に対応することが難しくなります。例えば、病気やケガによる休職、リストラや転職による収入減少、家電の故障や車の修理など予想外の大きな出費、子どもの進学や習い事など教育費の増加といった事態が発生した場合、返済が困難になるリスクがあります。
審査が厳しくなる可能性がある
返済期間を短くすると毎月の返済額が増えるため、返済負担率が上がり、住宅ローンの審査が厳しくなる可能性があります。年収に対して借入希望額が大きい場合、短期返済を希望しても審査に通らないケースがあります。その場合は、返済期間を長くするか、借入額を減らすかの選択を迫られることになります。
繰り上げ返済による返済期間短縮とは
繰り上げ返済とは、住宅ローンの元金の一部または全部を、本来の返済計画よりも前倒しで返済することです。繰り上げ返済した金額はすべて元金の返済に充てられるため、効率的に支払う利息分を減らし、総支払額を抑えることができます。
繰り上げ返済には2つのタイプがあります。期間短縮型は残りの返済期間が短くなる返済方法で、毎月の返済額は変わりません。返済期間が縮まるため、短縮された期間分の利息が軽減されます。返済額軽減型は今後の毎回の返済額が少なくなる返済方法で、返済期間は変わりません。毎月の出費が直接減らせるので、その分家計にゆとりができます。
同時期に同額の繰り上げ返済をする場合、期間短縮型で繰り上げ返済をした方が総返済額は低くなります。具体的なシミュレーションを見てみると、返済開始から3年後に100万円を繰り上げ返済した場合、期間短縮型では軽減される支払利息は約116万円です。一方、返済額軽減型で同様の繰り上げ返済を行うと、軽減される支払利息は約45万円と、期間短縮型の半分以下となります。
繰り上げ返済の効果を最大化するポイント
繰り上げ返済は、額が大きいほど、また時期が早いほど効果が高くなります。住宅ローンの開始時期からの期間が短い、つまり住宅ローン残高が大きいほど、総返済額を減らす効果が高くなります。例えば、住宅ローンの開始から3年後と10年後では、同じ金額を繰り上げ返済しても約46万円の差が出ることもあります。
繰り上げ返済のベストなタイミングについて、専門家は「住宅ローンの利息は、その時点のローン残高に対して毎日計算されているようなもの。繰り上げ返済によってローン残高が減れば、それだけ利息負担は軽くなる。なので、繰り上げ返済をするなら、一刻も早く行うのがベター」と述べています。
具体的なシミュレーション例として、35歳のときに3,000万円を35年返済で借り入れた場合、45歳から毎年60万円を期間短縮型で繰り上げ返済することで、60歳時に完済が可能です。この場合、約250万円の利息軽減につながります(金利2%、ボーナス返済なし、元利均等返済の場合)。
繰り上げ返済を行う際の注意点
繰り上げ返済を行う際には、いくつかの注意点があります。
住宅ローン控除への影響について、住宅ローン控除は、借入期間が10年以上のローンが対象です。期間短縮型の繰り上げ返済を行った結果、借入開始からの返済期間が10年未満になった場合は、住宅ローン控除の適用が受けられなくなります。また、繰り上げ返済で残高が減ると、住宅ローン控除の控除額も減ることを認識しておきましょう。
手元資金の確保については、繰り上げ返済を行うと手元の資金が減少します。日々の生活に必要な資金を削ってまでの繰り上げ返済は避けるべきです。繰り上げ返済は一度行うと取り消せないため、万一の事態が起きても支払いに困らないよう、十分な手元資金を確保した上で行うことが重要です。
繰り上げ返済のタイミングとして、借入金利が0.7%よりも高いなら、早く繰り上げ返済をした方がお得です。まとまったお金が貯まるまで待つよりも、こまめに繰り上げ返済をしていった方がお得になります。
返済期間を決める際のポイント
65歳までに完済できるかを考える
住宅ローンの返済期間を決める際に最も重要なポイントの一つは、65歳までに完済できるかどうかという点です。80歳まで返済期間があれば余裕があると考える方もいるかもしれませんが、できることなら定年を迎える65歳までに完済するのが理想です。65歳以降も継続して働けたとしても、収入が減少したり、ケガや病気で療養する必要が出てくる可能性があるためです。
退職後は収入が減少し、年金や貯蓄で生活していくことになります。そのため、住宅ローンの支払いが残っていると、家計の圧迫につながります。老後資金が不足してしまう事態を避けるためにも、安定収入を得られているうちに住宅ローンを完済できるような返済計画を立てることが望ましいでしょう。
年齢別の返済期間の目安
年齢別に、65歳完済を目標とした場合の返済期間の目安を見てみましょう。25歳の場合は最大40年で35年ローンでも60歳完済が可能です。30歳の場合は最大35年、35歳の場合は最大30年、40歳の場合は最大25年、45歳の場合は最大20年、50歳の場合は最大15年となります。このように、住宅購入の年齢が上がるほど、選択できる返済期間は短くなります。近年は住宅購入の年齢が上昇傾向にあるため、返済期間の設定はより慎重に検討する必要があります。
ライフプランを考慮する
住宅ローンの返済期間を決める際には、将来のライフプランも考慮することが重要です。子どもの教育費がかかる時期、車の買い替え時期、リフォームの必要性、親の介護の可能性、自身の健康状態の変化などを踏まえて、無理のない返済計画を立てることが大切です。
専門家がすすめる返済期間の選び方
多くの専門家は、まずは35年ローンで組んでみることをすすめています。理由は、契約後に期間を短縮することはできても、延ばすことは基本的にできないからです。35年で借り入れてみて、返済に余裕がありそうなら繰り上げ返済をして期間を短縮するのがベターです。支払う利息額は少ない方がよいですが、無理なく毎月の支払いができる返済プランを検討することが最も重要です。
変動金利と固定金利の選択について
住宅ローン金利の最近の動向
2024年3月、日本銀行がマイナス金利政策を転換し、「短期プライムレート」が2024年8月に引き上げられました。その影響を受け、同年10月に一部大手銀行が変動型住宅ローン金利を引き上げました。
2025年7月時点での主な銀行の変動型金利は、大手銀行で0.5%から0.9%程度、ネット銀行では0.7%から0.9%台という水準になっています。今後も利上げが続く可能性があり、2025年中に1回、場合によっては2回の金利上昇がある可能性も指摘されています。
変動金利の現状と選択状況
住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローン利用者の約8割(79.0%)が変動金利を選択しています。2019年度は59.0%だったため、この数年で変動金利の人気が大きく伸びています。変動金利は固定金利よりも金利が低く設定されているため、毎月の返済額を抑えられるというメリットがあります。ただし、半年ごとに金利が見直されるため、金利上昇時には返済負担が増すリスクがあります。
返済期間と金利タイプの関係
返済期間が長いほど、金利変動の影響を受ける期間も長くなります。特に変動金利を選択する場合、35年という長期返済では金利上昇リスクが大きくなることを認識しておく必要があります。一方、返済期間が短い場合は、金利変動の影響を受ける期間も限られるため、変動金利を選択するリスクは相対的に小さくなります。
5年ルールと125%ルール
変動金利には、多くの金融機関で「5年ルール」と「125%ルール」が設けられています。5年ルールとは、金利が上がっても5年間は月々の返済額が変わらないというものです。125%ルールとは、6年目以降も返済額の増加は従来の1.25倍までが上限というものです。これらのルールにより、金利上昇による返済額の急激な増加は抑えられますが、未払利息が発生しやすくなるという副作用もあります。
金利タイプの選び方
どちらが正解という答えはありません。自分たちの暮らし方や価値観に合わせて選択することが大切です。
変動金利が向いているのは、金利の変動を定期的に確認できる人、金利が上昇しても貯蓄などで対応できる人、借入金額が少ない、または借入期間が短い人、今後も変動金利が固定金利を大きく上回ることがないと考える人です。
固定金利が向いているのは、金利上昇で返済額が増えると支払いが困る人、計画的に返済計画を立てたい人、金利上昇のリスクに備えたい人、金利を気にせずにライフプランを設計したい人です。
返済期間別のシミュレーション比較
ここでは、借入額3,000万円、金利1.5%(固定)、元利均等返済、ボーナス返済なしという条件で、返済期間別の比較を行います。
| 返済期間 | 月々の返済額 | 総返済額 | 総利息額 |
|---|---|---|---|
| 20年 | 約144,763円 | 約3,474万円 | 約474万円 |
| 25年 | 約119,980円 | 約3,599万円 | 約599万円 |
| 30年 | 約103,536円 | 約3,727万円 | 約727万円 |
| 35年 | 約91,855円 | 約3,858万円 | 約858万円 |
返済期間20年の場合は、毎月の返済負担は大きいですが、利息の支払いは最も少なくなります。55歳までにローンを組めば、65歳の定年前に完済可能です。
返済期間25年の場合は、20年返済と比較して、月々の返済額は約24,800円少なくなりますが、総利息額は約125万円多くなります。40歳までにローンを組めば、65歳の定年前に完済可能です。
返済期間30年の場合は、25年返済と比較して、月々の返済額は約16,400円少なくなりますが、総利息額は約128万円多くなります。35歳までにローンを組めば、65歳の定年前に完済可能です。
返済期間35年の場合は、月々の返済負担は最も軽いですが、総利息額は20年返済と比較して約384万円も多くなります。30歳までにローンを組めば、65歳の定年前に完済可能です。
返済期間が短いほど総返済額は少なくなりますが、月々の返済負担は大きくなります。逆に、返済期間が長いほど月々の返済負担は軽くなりますが、総返済額は大きくなります。自分の年齢、収入、ライフプランに合わせて、最適な返済期間を選択することが重要です。
金利上昇が返済に与える影響
変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、金利が上昇すると毎月の返済額が増加します。特に注意すべきは、残債が多い時期ほど金利上昇の影響が大きいという点です。
例えば、返済開始から5年目で金利が1%上昇した場合と、15年目で同じく1%上昇した場合では、5年目の方が毎月の返済額の増加幅が大きくなります。これは、5年目の方がローン残高が多いためです。
返済期間が長いほど、金利上昇の影響を受ける可能性のある期間も長くなります。35年ローンを変動金利で組んだ場合、その35年間のいずれかの時点で金利が上昇するリスクがあります。一方、20年ローンであれば、金利変動の影響を受ける期間は20年間に限定されます。返済期間を短くすることは、金利上昇リスクへの対策にもなります。
金利上昇に備えるための対策としては、万が一金利が上昇しても対応できるよう貯蓄を増やしておく「資金余力を高める」方法、金利が上昇する前に元金を減らしておくことで影響を軽減できる「繰り上げ返済をする」方法、金利が上昇した場合により有利な条件のローンに借り換えることを検討する「住宅ローンの借り換えをする」方法などがあります。
住宅ローン控除との関係
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に、年末時点のローン残高の0.7%を所得税から控除できる制度です。控除期間は新築住宅の場合は最長13年、中古住宅の場合は最長10年となっています。
住宅ローン控除を受けるための要件の一つに、「借入期間が10年以上」という条件があります。そのため、繰り上げ返済を期間短縮型で行うことによって、住宅ローンの残り期間が10年を切ってしまった場合は、住宅ローン控除を受けられなくなってしまいます。住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けるためには、控除期間中は繰り上げ返済を控えるか、返済期間が10年を切らないように注意する必要があります。
繰り上げ返済を優先すべきケースは、住宅ローンの借入金利が住宅ローン控除による減税分(0.7%)より高い場合です。借入金利が0.7%より高いなら、早く繰り上げ返済をした方がお得になります。一方、借入金利が0.7%以下の場合は、住宅ローン控除の恩恵を最大限に受けるために、控除期間終了後に繰り上げ返済を行う方が有利になることがあります。
最適な返済期間の選び方のまとめ
住宅ローンの返済期間を選ぶ際には、毎月の返済額として家計に無理のない範囲で設定すること、総返済額として利息負担をできるだけ抑えること、完済時年齢としてできれば65歳(定年)までに完済すること、将来のライフプランとして教育費や老後資金なども考慮すること、金利タイプとして変動金利の場合は金利上昇リスクも考慮することの5点を総合的に考慮することが重要です。
多くの専門家がすすめる戦略は、まずは35年などの長期ローンで契約し、余裕ができたら繰り上げ返済で期間を短縮するというものです。この方法のメリットは、最初は毎月の返済負担を抑えられること、将来の収入増加や支出減少に合わせて柔軟に対応できること、返済期間は短くできるが延ばすことは基本的にできないことという点です。ただし、この方法を選択する場合でも、最終的には65歳までに完済できるよう、計画的に繰り上げ返済を行うことが重要です。
住宅ローンの返済期間に「正解」はありません。人によって経済状態や将来の見通し、リスク許容度は異なります。重要なのは、自分自身のライフプランや価値観に合った返済計画を立てることです。無理のない返済計画を立て、必要に応じて専門家(ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーなど)に相談することをおすすめします。住宅は人生最大の買い物であり、住宅ローンは人生最大の借金です。後悔のない選択をするために、十分な情報収集と慎重な検討を行いましょう。









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